2016年1月11日月曜日

2015/11/13実施の内閣官房との面談報告:「TPP交渉及び審議・検討における透明性」に関する対政府要請



「TPP交渉及び審議・検討における透明性」に関する対政府要請

日時: 2015年11月13日(金)13:20~14:00
場所:   永田町合同庁舎第2共用会議室

政府対応者:内閣官房TPP政府対策本部より 内閣参事官 矢田真司、参事官補佐 日笠紘

参加団体:“TPP交渉差止・違憲訴訟の会、TPP阻止国民会議”
全日本農民組合連合会
農民運動全国連合会 
北海道農民連盟
生活協同組合パルシステム東京  
全日本民主医療機関連合会
TPP参加交渉から即時撤退を求める大学教員の会
TPPに反対する弁護士ネットワ-ク
市民と政府のTPP意見交換会・全国実行委員会


 (内閣官房TPP対策官房に、要請文および賛同団体一覧を手渡しました)

・提出した要請内容・賛同団体等の詳細はこちらから
http://tpp-dialogue.blogspot.jp/2015_06_01_archive.html

・要請提出後に開催された院内集会の様子はこちらから
http://tpp-dialogue.blogspot.jp/2015/11/20151113.html


1.「TPP交渉及び審議・検討における透明性」に関する要請について

 全国実行委員会、115団体(構成員300万人超)の賛同する要請書が提出され、その要点として「市民と政府のTPP意見交換会・全国実行委員会」より説明があった。

要請のポイントは、
(1)TPPに関する徹底した情報公開
(2)誰でも参加できる政府説明会・対話の実施
(3)TPPに関する適正なパブリック・コメントの実施
(4)国会への情報公開、国会における特別委員会の設置、詳細審議
(5)保秘義務契約についての廃止の働きかけ
、の5点。
補足として以下の説明がなされた。

徹底した情報公開とは条文およびすべての付属文書の邦訳の公開である。概要では情報開示にならない。また懸念に対する書面での説明及び説明に係る論拠とその基となる文書・条文を明示されたい。

市民各層に対する政府説明会・対話を全国各地で実施するにあたっては、その前提として、上記情報の公開、「分かりやすい説明」を求める。

適正なパブリック・コメントとは、募集期間、結果の詳細の公表、結果の反映という点で適正なものをいう。

保秘義務契約の廃止は、大筋合意の前にするべきと要請してきたが、現時点でも秘密文書に対して保秘義務契約の廃止を働きかけてもらいたい。


2.TPP政府対策本部・矢田真司参事官より、次の説明があった。
1)10月5日の「大筋合意」は、政治的判断部分を含めて大要が合意されたのであり、現在条文案のリーガル・スクラビングをかけているところ。

2)12カ国で「暫定的」に合意されたものを英文の寄託国であるNZ政府が公開した(11月5日)。日本語訳はまだすべてできている訳ではない。しかし、11月5日全章概要と付属文書を公表している。

3)二国間の交換文書については、相手国との合意があるものは公開できるが、それ以外は不可。また、条文としては他の関係条約との整合性を整理する必要がありまだ時間がかかる。

4)影響が心配される問題についての「影響試算」を出す。2013年には「関税撤廃」についての影響試算は行った。今回は投資やサービスの自由化などより広く経済全体への影響について試算する。年内には出来ると思う。

5)まず、11月25日に政府が「TPP関連政策大綱」を取りまとめる。TPPの効果を発現させ、影響に対する対策をまとめたものになる。

6)だれでもが参加できる説明会の要望についてだが、すでに各地で公開かつだれでも参加できる説明会を開催している。内閣官房としての体制が許す範囲で、地方でも説明会は行う。

7)パブリック・コメントは条約についてはなじまないのではないか。条文としてまとまった段階ではないのでできない。いずれにしても意見聴取はやっていく。 

8)国会特別委員会での審議についてだが、どういう委員会を作るかは政治マタ-なのでなんともいえない。アメリカのTPAに照らすとアメリカの署名は2月3日以降に可能となる。

各国の署名が揃った時点で条文が固まる。したがって国会での審議はそれ以降になる。それ以前に条文の日本語訳を出すことはできない。

文そのものは開示されるが、それに至る交渉内容・やり取りは明らかにできない。説明・理解に必要な場合は出来る範囲で交渉経過なども説明したい。


3.以上の説明に対して参加団体からの質問
1)「大学教員の会」から、
「影響試算」を出すというが、試算はどうにでもなる。具体的モデルや試算の前提を明示すべきだ。  
また、試算結果に対する疑問に答えてくれるか。

矢田参事官:モデルや前提条件等は明らかにしたい。ただし、マクロ状況レベルでの試算であって、個別状況を細かく試算することは別問題。


2)「TPP違憲訴訟の会」から
一刻も早く条文の開示が必要だ。二国間交渉にかかわる文書はだせないのか。
  
矢田参事官:各国が協定署名を終えた後に日本語条文も国会審議にかかる。署名は「行政手続き」だから、署名されたものが国会審議にかけられる。二国間交渉は、開示が約束されたもの以外はだせない。


3)「全国実行委員会」から
情報開示はされているというが、十分ではない。日本語の条文の開示が署名手続きを終わった2月3日以降だというのでは理解できない。その間、英文の暫定条文は開示されている。英語圏の人間は条文を知り得て、日本人は知り得ないというのは公平ではない。アメリカの議員は大筋合意以前も条文にアクセスできている。

また、市民の疑問や懸念に答えるのは、「心配ない。安心だ」という説明ではなく、そのように判断する根拠となる条文や付属文書の箇所を示したうえで市民に判断を委ねるべきである。

また、対話が予定されていたが、自民党への説明に参加という事情があって実現しなかった。再度、渋谷交渉官との協議を求める。また、今回の賛同団体からの要請に対しては、文書回答をお願いしたい。

矢田参事官:検討する。



                     (文責:市民と政府のTPP意見交換会・全国実行委員会)