2017年10月30日月曜日

【再要請&政府回答報告】「経済連携協定などに関する情報公開要求」政府面談を受けて

【再要請&政府回答報告】「経済連携協定などに関する情報公開要求」政府面談を受けて



2017年8月、「経済連携協定」などに係る情報公開についての要請し、その回答として書面及び、2017年9月6日に実施した政府面談を実施いたしました。
(その報告はこちらから→http://tpp-dialogue.blogspot.jp/2017/09/201796.html

面談等の結果を踏まえ、明確かつ納得のゆく回答がなかった点について、2017年10月再質問を政府に送付し、政府回答(末尾参照)がありました。

政府回答が簡潔な回答にとどまったことは非常に残念です。
しかし、8月当初の私たちの要請に対し、書面での回答を実質的に初めて得たこと、及び各省庁にまたがっての面談についても、的確に対応いただきました。これらは市民側の要請への対応及び情報公開の政府の姿勢が前進していると理解し、歓迎したいと思います。

また、末尾の、「いただいた御意見を真摯に受け止め,皆様の要請にお応えできるよう,今後とも可能な限りの情報提供を行い,より一層丁寧な説明に努める」
という政府回答通りになっているか、今後も注視していきたいと思います。

以下、私たちからの再要請・再質問および、政府回答について、報告いたします。

「経済連携協定」などに係る情報公開についての要請
-9月6日面談を受けての再要請・再質問など-


(1)情報公開に係る内容
①情報公開の一般的立ち位置とそれに伴う情報公開の実情について説明を受けたが、公開された情報は量的にも質的にも主要国に比べ充分とは言えない。引き続き改善を求めるとともに、今後の対応策について回答願いたい。

併せて、記者会見などにおける説明や情報開示についてもウェッブサイトでの開示を要請する。

要請文書への賛同団体の構成員は300万人超ほどになり、業界団体の規模にも匹敵する利害関係者であることを認識いただきたい。


②特に交渉中の協定については、情報公開は実質的に皆無に等しいが、最大限公開されるよう要請する。また、従来通りの対応が適当であるとされる場合は、以下の見解も踏まえた上で、その理由を明らかにするよう要請する。

「交渉相手国との信頼関係を損ねる」こと、「交渉の手の内を相手に晒すことになる」こと、「並行する他の通商交渉に影響を与える」ことなどが理由とされている。
いずれも、交渉官にとっての技術的問題であり、交渉を通じて大きな信頼関係が築かれていれば、克服されて然るべきと考える。

従来も、結果的には事実であった報道内容が交渉に影響を与えた事実は見られないと推察する。特に、日本が提案した内容は既に交渉相手には公表されたものであり、知らないのは市民・立法府の議員だけというのは奇妙としか言いようがない。

また、情報化社会においては、他の通商交渉の相手国であっても大凡の流れは把握している筈であり、大切なのは大きな戦略と確信である。

通商交渉は“交渉官のもの”である以上に“市民のもの”である。そこにおいて発生する手間・時間は“民主主義のコスト”と考えるべきで、あくまで“公開を原則”とすべきと考える。


③日EU・EPAにおいて“間断なく五月雨的にビデオ会議や頻繁な交渉官の往来などで交渉が進み、会合の都度適宜情報を公開するに至らなかった”こと、TPP11は“交渉と言う位置付けではないので、一定まとまった段階で説明をする”意向などが、交渉の都度情報を公開しなかったことの説明とされた。

しかし重要かつ市民の関心の高いメガFTAであり、米国やEUのように立法府の付託を直接受けないままの交渉であるだけに、説明責任を充分に認識すべきと考える。

ビデオ会議であっても、一定の議事録・メモに基づき責任ある交渉進捗の説明が明らかにされることを要請する。

影響試算も我々の大きな関心事、特に影響を受ける農家などの事業者にとっては、将来の事業展開、投資判断に係る問題であり、速やかな公表を求めたい。

具体的には、①基本合意あるいは最終合意後、遅くとも国会審議開始以前の段階で速やかに作成し、公表すること、②「政府対策の効果」を含むことなく、通商協定の直接的な影響試算とすること、③個別の通商協定だけでなく、並行して進行中の複数の協定を包括した影響試算を作成、公表すること、を要請する。

⑤合意された協定の内容については速やかに日本語への翻訳と公表と共に、他国の留保措置、他国が締結・交換した特定国との追加交渉などの日本と他国との明示的違いに係る附属書など、その他重要と判断される英文文書は、日本語への翻訳を実施し公表されたい。

これは、合意内容を幅広く評価するためにも、また市民による、あるいは国会の場での掘り下げた議論を可能にするためにも必要と考える。


(2)市民参加の説明会開催に係る内容
市民参加の説明会については、政府主催、自治体あるいは市民の要請によるもの、また調整中のもの、いずれもその主催の形態も明確にした上で、所管官庁のウェッブサイトで公表するとともに、併せて報道機関を通じた公表もするよう要請する。

これは「丁寧な説明と幅広く意見聴取する」ことの本気度に係るものである。

②市民参加の説明会については、市民団体から要請のあった場合も含め、可能な限り実施するとの回答をいただき、そのことについては大いに評価するものである。

しかし、TPPで実施されたように、協定交渉の都度、市民参加の説明会を、交渉の行われる海外を含め、可能な限り各地域で開催すると共に、幅広く意見聴取を行うことを再度要請したい。

現在進められている協定交渉、日米経済対話については、RCEP神戸会合での例外的対応を除き、TPPでのような交渉の都度開催される説明会は実質的に皆無である。


(3)国会での審議に係る内容
①TPP11についても他の通商協定と同様、国会での丁寧な審議と承認手続きとを再度要請する。

9月6日の面談、また9月13日の参議院議員会館での政府説明と対話において、国会承認の手続きの採り方、有無については「大平3原則に即して判断することになる」との回答がなされている。

しかし3原則の内容は、条約批准の国会承認についての要不要を決めるに相応しい明確さと、権威を有するものではない。恣意的な解釈と利用への道とされることを懸念するものである。

報道される各国からの要望や協議の実態などから推察すれば、当然国会承認を必要とする条約であると考える。

以上


参考:8月10日付の政府への要請内容(概要)
・日米経済対話を含む全ての経済連携協定並びにそれに準ずる通商協定の内容及び交渉経
過を所管官庁のウェッブサイトで公開
・上記に関する市民参加の説明会を、交渉の行われる海外を含め可能な限り各地域で開催すると共に幅広く意見聴取を行うこと
・交渉内容・経過についての国会での慎重かつ丁寧な審議を保障


文責:「市民と政府のTPP意見交換会・全国実行委員会」

※再要請全文はこちらから

<再要請・再質問 ここまで>