2013年8月18日日曜日

TPPに関する質問主意書の答弁が公開されました。

TPP関連の参議院、質問主意書の政府答弁が公開されています。

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/184/syuisyo.htm


特に、情報公開などを中心に質問されている山本太郎議員と福島みずほ議員の質問主意書と答弁を紹介します。

※A)が政府答弁
 

また、文中にでてくる、「TPPの輪郭」については、こちらからご参照ください。


概要→http://www.pref.nagano.lg.jp/kikaku/kikaku/epa/130307/03_shiryo01-03.pdf#search='%EF%BC%B4%EF%BC%B0%EF%BC%B0%E3%81%AE%E8%BC%AA%E9%83%AD'

 

 

■山本太郎議員:環太平洋パートナーシップ(TPP)協定及び日米並行協議に関する質問主意書

 

環太平洋パートナーシップ(TPP)協定(以下「TPP」という。)及び日米並行協議に関して、以下のとおり質問する。

 

【山本議員:質問一】 日米間の協議結果の確認に関するマランティス米国通商代表代行発返書(平成二十五年四月十二日)について、
「TPP交渉と並行して、保険、透明性/貿易円滑化、投資、知的財産権、規格・基準、政府調達、競争政策、急送便及び衛生植物検疫措置の分野における複数の鍵となる非関税措置に取り組むことを決定しました」
とあるが、具体的には、どのような非関税措置について議論をしたのか。それぞれの分野にはどのような非関税障壁があると米国は主張しているのか、示されたい。
  また、「非関税措置について達成される成果が、具体的かつ意味のあるものとなること、また、これらの成果が、法的拘束力を有する協定」等を通じて実施されるとしているが、法的拘束力の中身はどのようなものなのか、示されたい。

 

A) 一について我が国の環太平洋パートナーシップ(以下「TPP」という。)協定交渉参加に関する日米間の協議の結果、日米間で取り組むこととなった非関税措置は、当該結果を確認する佐々江米国駐箚特命全権大使発さつマランティス米国通商代表代行宛ての本年四月十二日付けの書簡(以下「日本側書簡」という。)及び同通商代表代行発同大使宛ての同日付けの返書(以下「米国側返書」という。)に明記されている九つの分野に係るものであるが、米国の主張等の詳細については、相手国との関係もあり、お答えを差し控えたい。
また、お尋ねの「法的拘束力の中身」については、その意味するところが必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難である。


 

【山本議員:質問 二】 

 日米間の協議結果の確認に関する佐々江駐米大使発書簡(平成二十五年四月十二日)について、「二○一一年十一月十二日にTPP首脳によって表明された「TPPの輪郭」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになることを確認しました。」と表明されている「高い水準の協定」とは、具体的に何を指すのか。

 

A) 二について御指摘の「TPPの輪郭」が日本側書簡及び米国側返書にある御指摘の「包括的で高い水準の協定」の内容を示していると認識している。

 

【山本議員:質問 三】

 我が国のTPP交渉参加に関するマランティス米国通商代表代行発米国下院議長・上院仮議長宛書簡(平成二十五年四月二十五日)について、
「日本との二国間協議においては、TPP交渉参加国が追求している高い水準で包括的な目標を追求することについての日本の用意に焦点を当てた。我々はまた、交渉が進んだ段階に達しており、TPP各国は交渉を本年妥結させることを目指していることから、日本の参加が交渉を遅らせることがないことを確保することについても焦点を当てた。これらに対し、また、これらを完全に認識した上で、日本は、交渉に前向きかつ建設的に参加することを確認した。」
とあるが、この「完全に認識した」とは、誰が、いつ、どのような形で、具体的にどのような交渉内容を「完全に認識した」のか。
  また、「日本はまた、全ての物品(農産品と工業製品の双方)を交渉の対象とすること、及び他の交渉参加国とともに高い水準で包括的な協定を本年達成していくことを確認した。」とあるが、農林水産分野の重要五品目などの「聖域」もこの時点で交渉の対象にすると同意していたのか。


A) 三について米国政府の書簡の内容について、我が国としてお答えする立場にない。
また、お尋ねの「この時点で」の意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国のTPP協定交渉参加のための日米間の協議で合意した事項については、日本側書簡及び米国側返書に記されているとおりであり、それ以上の詳細については、お答えすることは困難である。
 

 

【山本議員:質問 四】

  本年六月十六日付けの産経新聞が「米国が難色を示していた遺伝子組み換え食品の表示義務を受け入れる方針であることが分かった。」と報じているが、これは事実か。事実とすれば、これは日米二国間だけの合意なのか。あるいは、TPP交渉参加国全てに対して米国が受け入れた合意なのか、明らかにされたい。


A) 四についてお尋ねの報道については承知しているが、交渉に係る個別具体的な内容については、お答えを差し控えたい。

 
 

【山本議員:質問 五】

  米自動車政策会議のマット・ブラント会長が「為替操作を禁止する強力で強制力を持った規則がTPPに盛り込まれる必要がある」と発言し、TPPに為替操作に対する新たな規定を追加するよう米国下院議員二百二十六名が署名してオバマ大統領へ書簡を送った。
フロマンUSTR代表も「為替操作は重要な懸念事項」と発言しているが、為替操作に対する規定の議論が日米並行協議の中で出ているのか。
為替操作に対する規定が盛り込まれれば、金融政策に対する内政干渉となり大問題であると思うが、この点について、政府の見解を明らかにされたい。


A) 五について日米両国政府がTPP協定交渉と並行して行う自動車貿易に関する交渉は、日本側書簡の附属文書である「自動車貿易TOR」に従って行われているが、それ以上の詳細についてはお答えを差し控えたい。いずれにしても、我が国として国益を最大限実現するために全力を尽くす考えである。

 

【山本議員:質問 六】

 本年四月十九日、米国シンクタンク戦略国際問題研究所で開催された講演会において、麻生太郎副総理が、
「水道というものは、世界中ほとんどの国では、プライベートの会社が水道を運営しているが、日本では自治省以外ではこの水道を扱うことはできません。しかし水道の料金を回収する九十九・九九パーセントというようなシステムを持っている国は、日本の水道会社以外にありませんけれども、この水道は全て国営若しくは市営・町営でできていて、こういったものを全て民営化します。」
と水道民営化に言及している。

 

【山本議員:質問 六の1】

 TPPでは政府調達の分野も含まれており、外国企業の参入を拒めなくなるはずである。水道のようなライフラインを外国企業に買収されてしまえば国家安全保障に関わる問題となる。この点について、政府の見解を明らかにされたい。


A) 六の1についてお尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、交渉に係る個別具体的な内容については、お答えを差し控えたい。いずれにしても、我が国として国益を最大限実現するために全力を尽くす考えである。

 

【山本議員:質問六の2】

 米国には国家安全保障を脅かす外国企業の活動を制限できるエクソン・フロリオ条項があるが、日本版エクソン・フロリオ条項のようなものの導入は検討していないのか、政府の見解を明らかにされたい。

 

A) 六の2についてお尋ねの趣旨が必ずしも明らかではなく、また、御指摘の「日本版エクソン・フロリオ条項」が具体的にいかなるものを指すのか必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。

 

【山本議員:質問 六の3】

 愛媛県松山市において、ヴェオリア・ウォーター・ジャパン株式会社への水道事業の業務委託が始まっている。松山市は業務委託によって水道料金が値上がりすることはないとホームページで公言しているが、同ホームページによれば、平成二十五年度から平成二十八年度にかけて水道料金の大幅値上げが計画されている。
 ヴェオリア・ウォーター社が参入したことと、この料金値上げとの間に本当に関連性はないのか、政府の見解を明らかにされたい。


A) 六の3について水道料金は、水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)の規定に従い適切に定められているものであるが、その設定には様々な要因が影響するものであることから、御指摘の「関連性」について、政府としては、一概にお答えすることは困難である。


 

■福島瑞穂議員:TPPに関する質問主意書


【福島議員:質問一】

本年七月二十三日、マレーシアで開かれたTPP交渉会合に参加するに当たり、鶴岡公二首席交渉官が秘密保持契約に署名した。この秘密保持契約の具体的な内容を明らかにされたい。この秘密保持契約においては、交渉過程の議論のみが秘密なのか、決定事項までも秘密なのか、誰がどこまで情報を把握できて、どの程度まで情報公開できるのか。

政府は、交渉参加前は「まだ交渉に参加していないから内容が分からない」としてきたが、交渉参加後は「秘密保持義務があるので話せない」では、国民は判断の材料すら持てないのではないかと考えるがいかがか。

 

A) 一について我が国は、TPP協定交渉に参加するに当たって、交渉参加国間で合意された手続をとった中で秘密保護に関する書簡を交換したが、当該書簡については、TPP協定交渉参加国との信頼関係もあり、詳細についてお答えすることは差し控えたい。

TPP協定交渉に関する情報については、外交上のやり取りでもあるため、公開できないものが含まれるが、公開できるものについては、状況の進展に応じて、しっかりと国民へ提供していく考えである。

 
 

【福島議員:質問二】 

 二〇一一年十一月、メキシコ及びカナダがTPP交渉参加に向けた協議開始の意向を表明した際、両国は「これまでに決まった交渉内容について、遅れて入った国は一切修正提案もできない。確定したテキストについては文言の修正もできない」との趣旨の文書を渡されたと報道されている。この度、さらに遅れて参加した日本政府にも、同様の文書が渡されているのか。渡されている場合には、その文書の内容も明らかにされたい。

 

A) 二について御指摘のような文書があるのかどうかを含め、外交上の個別のやり取りの詳細を明らかにすることは差し控えたい。

 

 

【福島議員:質問三】

 日本政府は、この度、TPP交渉に参加するに当たり、これまでの交渉内容の経緯や、確定したテキストの全容を知るに至った。
既にマレーシア政府は、「TPP交渉テキスト全二十九章のうち十四章が作業を完了している」とし、作業を完了した分野の詳細も含めた声明を、独自の判断で出している。交渉に参加後、日本政府は「交渉の余地がある」と述べているが、国民にとってはどの分野でどのような内容が提案可能かは大きな関心事項である。
少なくとも、マレーシア政府の発表と同レベルの情報開示をするべきと考えるが、いかがか。

 
 

【福島議員:質問四】

  日本政府は、本年六月十七日に開催された国内の業界団体百二十八団体に向けたTPPに関する説明会において、「国内向けに交渉に関する説明を広く平等な参加資格をもって、公開で行っていただきたい」との会場質問に対し、「検討する」と回答している。
 他のTPP参加国のほとんどは、国内のステークホルダー(利害関係者)に対し、交渉会合の後などにブリーフィングの場を設けている。このような場は国民への説明責任と情報開示の観点から、必須の事柄と考えるが、政府はいつ、どのような形でこのような場を持つ予定か、明らかにされたい。このような場を開催しないことは重大な問題となると考えるが、開催しない場合にはその理由を明らかにされたい。

  

A) 三及び四についてこれまで政府は、ホームページを通じた情報提供のほか、地方自治体関係者、消費者団体を含めた関係団体等に対する説明会等を通じて、国民各層に対して情報提供してきており、今後とも、一についてで述たように、国民に対して適切な情報提供に取り組んでいく考えである。

 

【福島議員:質問五】 

 本年七月十八日、米国通商代表部(以下「USTR」という。)のマイケル・フロマン代表が、米国下院歳入委員会公聴会で「日本のTPP交渉参加のための(事前協議)過程において、あらゆる品目・分野が交渉対象であることを明確にし、日本農業に関連して一切の除外を認めていない」と証言し、「(まとまった交渉文書の)再交渉も、蒸し返すことも日本に認めない」と述べているが、これを日本政府は承知しているか。事実に反している場合には、公式に否定しないのか。

 

 

A) 五について御指摘の公聴会における、フローマン米国通商代表の発言について承知しているが、米国政府要人の議会での発言の逐一についてコメントすることは差し控えたい。

なお、我が国のTPP協定交渉参加のための日米間の協議の結果については、佐々江米国駐箚特命全権大使発マランティス米国通商代表代行宛ての本年四月十二日付けの書簡(以下「日本側書簡」という。)及び日本側書簡の附属文書である「自動車貿易TOR」並びに同通商代表代行発同大使宛ての同日付の返書(以下「米国側返書」という。)に記されているとおりであり、日本側書簡と米国側返書の内容は同一であり、共に公表されている。

 

 

【福島議員:質問六】

  米国大統領の貿易促進権限(TPA)は時限立法によるものであり、二〇〇七年七月一日に失効している。連邦議会の規定によれば、大統領には条約を結ぶ権限はあるけれども、通商に係る協定を結ぶ権限はない。つまり、オバマ政権にはTPPを締結する権限がないのではないか。

本年三月十九日の米国上院財政委員会公聴会では、マランティスUSTR代表代行が「(TPAなしに交渉していることに)違法性はないのか」とオリン・ハッチ議員に問われている。

TPAを失効しているオバマ政権と結ぶ合意文書に法的拘束力はあるのか。また、TPAについてUSTRが上院及び下院議員に対して説明を行ってきた内容を日本語にして日本国民に開示すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

 

 

A) 六についてお尋ねの米国の国内法等について、我が国として判断する立場にはない。また、米国政府が同国議会議員に対して行っている説明の内容を、我が国として網羅的に把握し、説明することは困難である。

お尋ねの合意文書の意味が必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難である。

 

【福島議員:質問七】

 国家と投資家の間の紛争解決(ISDS)条項は、国家対国家という国際法の概念から離れて、投資家(企業)に国家を提訴する権利を与えている。投資紛争解決国際センターに訴えられた政府には、当該裁判を拒む権利が認められていない。また、投資紛争解決国際センターは世界銀行傘下の組織であり、公正な中立性が保証されていない。

このISDS条項は、司法権が我が国の裁判所に属するとした日本国憲法第七十六条第一項に反するのではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

 

A) 七についてお尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、政府としては、我が国がこれまでに締結した投資協定及び経済連携協定に含まれている一方の締約国と他方の締約国の投資家との間の投資紛争の解決に係る規定については、紛争の解決を仲裁等に付託することができる旨を定めるものであり、御指摘のような憲法上の問題はないと考えている。

 

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